『夢と金』(西野亮廣著)は、約2週間前に発売された本です。
早速読み終えましたが、圧倒されました。
非常に刺激を受けました。
西野氏の本は以前、『新・魔法のコンパス』を読んだことがあります。非常によかったので、『夢と金』も発売されてすぐに購入しました。
この本のテーマは、希望を持つためには、夢を語り、「お金」を学ぶ必要がある、ということです。
目次はこのようになっています。
まえがき
第一章 富裕層の生態系
第二章 コミュニティー
第三章 NFT
あとがき
最初の方は、以前の本とかぶる内容がありつつも、新しい情報、解説、たとえ話などが加わり、興味深く読めました。
製品の機能と価格が比例するかどうか、ラグジュアリーな製品とは何かなどについて書かれています。
個人的に圧倒されたのは、第三章 NFTです。
この部分を読んでいて関連するニュース記事をいくつか思い出しました。
まずNFTのオークションの記事です。
NFTというのはブロックチェーン技術を利用した、デジタルデータに対する鑑定書のようなものです。インターネットのWorld Wide Webを考案したティム・バーナーズ・リー氏がソースコードのNFTをオークション(サザビーズ)で売り出して、約6億円で落札されています。
World Wide Web(WWW)を考案し、“Webの父”とも呼ばれるサー・ティム・バーナーズ=リー氏がNFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン)としてオークションにかけたWWWのソースコード“原本”は、約6億円で落札された。
ゲーム内で自分でデザインしたコスチュームなどを販売してお金を稼ぐという記事も思い出しました。
2021年6月、あるゲーム会社が、仮想空間のゲームの中でアバターが身につけるコスチュームなど(単なるデータであり、仮想空間内で使えるだけのもの)をデザイン、販売できるにようにしました。
デジタルアーティストのKai氏は、コスチュームをデザイン、販売して$15,000(約200万円)を得ています。
One game company, Decentraland, announced in June that players could design and sell clothing for their avatars to wear in the game.
Kai said he sold kimonos for $140 each and earned about $15,000 in three weeks.
AIツールで簡単に作品を作り出せるという今年の記事も思い出しました。
DALL-E, Midjourney, Stable DiffusionなどのAIツールを使うと、実在の芸術家のスタイルを模倣した画像を即座に作ることができます。例えば、"バン・ゴッホのスタイルの犬"のように指定します。
著作権侵害の訴訟などが起きたりしていますが、美術館でAIによって作り出された作品が展示されたりもしています。
DALL-E, Midjourney and Stable Diffusion are among the AI tools that can create images that copy the styles of real artists.
A user can ask the system to produce an image, such as “a cat in the style of Van Gogh,” and the AI tool will quickly do so.
西野氏は、上記の記事に書かれているようなことを、まとめて体系化して、お金を稼げるようなシステムを作り出して運用している、ということがこの本に書かれています。
西野氏は、AI(上記の記事に出てきていた画像生成ツール "Midjourney" ) に西野氏の絵本作品のスタイルを学習させ、画像をすぐに生成できるようにしてNFTで販売しています。
単純に生成、販売するだけではなく、価値を保つための活動が重要とのことです。この本の前半に書かれている物の価格の意味についての考え方が活用されています。
NFTを使った子どもたちに絵本を贈るプロジェクト『CHIMNEY TOWN GIFT』についても興味深かったです。子供施設に絵本を寄贈する権利をNFTとして販売するというものです。
ある人がこのNFTを購入すると、その購入代金によって絵本が子供施設に寄贈されるというものです。この場合、NFTは寄贈した証ということになります。ここでのNFTは転売できないものになっているそうで、NFTを持っている人=支援した人ということになります。
絵本支援NFT CHIMNEY TOWN GIFT – CHIMNEY TOWN ONLINE STORE
この本全体に説得力があり、迫力があるのは、西野氏が実際に体験したこと、考えたこと、試したこと、それで得られた成果について書かれているからだと思いす。
10年以上前に、当時目新しかったクラウドファンディングを始めて詐欺や宗教などと批判を多く浴びた西野氏ですが、今も新しい技術を活用して成果を出し続けているのはすごいことだなと思います。
自分の場合、以前からNFTが気になっていたので、特に第三章NFTの印象が強かったですが、本全体に、人生において知っておいた方がよい重要なことが、多く書かれていると思います。気になった方は読むのをおすすめします。
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