4月の日米首脳会談の共同声明で、日米安全保障条約の適用対象に尖閣諸島が含まれると改めて明記されています。
尖閣が、日米安保条約の対象という声明があると、以前は少し安心できました。
ところが、識者の中にはこれは安心できないという方々がいます。もし尖閣を攻められたとしても、日本が最初に軍事行動を起こさないと、アメリカから最初に行動を起こすことはないというのが理由です。
それはそうかもしれないな、と思っていました。
先日、憲法記念日に公開フォーラムがありました。
その中で、河野克俊前統合幕僚長がこのあたりについて講演されていました。
その話には非常にわかりやすく、たしかに、アメリカが最初に軍事行動を起こさないだろうなと思いました。
河野氏は、東日本大震災のときのエピソードを話されていました。
・2011/3/11東日本大震災の発生当初、政府は何をしていいかわからない状態だった。
・自衛隊は対応は検討していたが、政府の命令が無くて全然動けない状態だった。
・米軍トップのマレン統合参謀本部議長から、自衛隊の折木統合幕僚長に電話あり。
・平たくいうと「お前ら何をやってるんだ。この国家的危機に、命を投げ打って国民と国家を守るのは軍隊、すなわちお前たちだろう」というような説教だった。
・3/17に自衛隊はヘリコプターで原発を上空から放水するという決死隊を送り込んだ。
・これで米軍が動いた。トモダチ作戦が始まった。ハワイの太平洋艦隊司令官が動いた。
・そのときに河野氏は確信。日米安保条約はあるが、自衛隊が動かない限り、米軍は絶対に動かない。
そして、尖閣の話題になります。
尖閣の日米安保5条の適用という話がありますが、尖閣諸島を米軍が守ってくれると誤解している人が多い、と河野前統合幕僚長は言います。
先の東日本大震災のときのように、自衛隊が前面に立たない限り、米軍は絶対に来ません。日米安保条約は自動参戦ではない、とのことです。
たしかに少なくとも、中国が尖閣に侵攻してきたとき、自衛隊が出動しなくてもアメリカが戦って守ってくれることになっているというのは聞いたことがありません。
この河野前統合幕僚長の講演は、公開フォーラムの中で、印象深かったものの一つでした。
(河野前統合幕僚長の講演は、37:00頃から約11分)
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